シャツ縫製 丸縫いの流れ

scylt/ 8月 25, 2017/ 縫製の徒然/ 0 comments

今回はシャツ縫製の流れを解説

今回のシャツは、お客様のオーダーシャツの2枚目の作成風景です。生地はTHOMAS MASON GOLD LINE ロイヤルツイル

1:生地地直し  ツイル=綾織は斜めに織りの線が走っている組織。この組織は斜行しやすいので、地直しを念入りに。ツイル目と反対方向にアイロンをかけ、タテ地が通るように整形していきます。(写真:生地端に切り込みを入れて、糸の逃げ場所を作ってあげます)DSC05248

2:裁断  今回のシャツは2面ボディですが、芯などを入れると20パーツ近くあります。また今回のお客様のシャツは、左右の肩傾斜が違う為、全てのパーツをそれぞれ裁断します(汗)DSC05251DSC05252

3:縫製  衿 & カフス  僕の場合、衿とカフスを最初に。やはり、「顔」となる衿や、「締め」になるカフスを綺麗に仕上げるため。芯の処理、ロール具合など、工程と神経がかかる、ここから始めます。カフスは時計に合せて、左右の幅を変えます。時計によって、その差が変わりますね。(ジャガールクルトとパネライでは差寸自体で1.5㎝位変わるでしょうか)

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縫製にて、内側ロール。カラーキーパー用の当て布は白で配色に。

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衿のロール感

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カフスも内に少しロール:内輪差と手首に向かい締める為

4:縫製  袖ケンボロ & カフス 袖は、まず剣ボロからはじめ、筒状に縫製→折り伏せ始末→カフスと合体。袖を筒状に折り伏せ縫いするのは、「縫いにくい」という意味で骨が折れます

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剣ボロ下は、白で配色。衿裏とリンク

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左右で袖口幅が違います

5:縫製  背ヨーク & 後身頃  背ヨークにネームを叩き、後身頃とドッキング。

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ヨーク下側に少しいせ(ギャザー)を入れ、立体的に

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ネームは4点留め。角が立たず、軽い仕上がり

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中央にタック&ギャザーで腕の運動量を確保

6:縫製  前身頃(前立て&裾始末)& 後身  前身と後身のドッキングは、2枚の肩ヨークに前身を挟み込む形ですが、これにも何種類かやり方があります。僕の場合は、大体1回で縫い繰り返します。(時に、肩ヨークにステッチがないシャツがありますが、このやり方でしか出来ません)

裾始末は、3つ巻きラッパというアタッチメントを使う方法もありますが、バイアスになるカーブラインが伸びて波打ってしまうので、避け気味。代わりに、アイロンで三巻を作ってから、裏から三巻端にコバステッチを叩きます

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「裏前立て」始末 & 肩の接ぎ部分を少しカーブ、肩から首の「登り」

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裾始末:1㎜コバステッチ用のアタッチメント使用

7:縫製  衿 & 身頃  台衿に身頃を挟み込みます。ここも神経を使います。台衿のカーブと襟ぐりのカーブの違い、そしてステッチによる表裏の縫い留め。技術と慣れが必要でしょうか。ここも地縫い返し、もしくは一回で挟み込むやり方の2通りあります。

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地縫い返し

8:縫製  身頃脇縫い & ガゼット & 袖取り付け  袖は、身頃を脇縫い(折り伏せ縫い始末)してからの「後付け式」。脇

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袖は針でピン打ちで準備

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袖の縫縫製後、裏返し。アームホールの折り伏せ始末の準備

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ネームと同じ点留め。デザインディテール。下を絞った方が良いな・・・

9:縫製  アームホール始末  ステッチで叩かず、ハンド工程をいれた手まつり(すくい縫い)で軽さを出します

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ハンドによる縫い代のまつり縫い始末

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まつり縫い始末:裏側 縫い代真ん中のステッチはギャザー寄せ用の捨てミシン、後で取ります

10:縫製  ボタンホール&ボタン付け  約4㎜厚の極厚白蝶貝 × 細く軽め(糸密度)のボタンホールで周囲の生地を必要以上に硬くしないように

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4㎜の極厚の白蝶貝

11:縫製  グリカン作成   剣ボロ開き口、テンションかかる部分に補強糸ループ。シルク糸の少し太目で撚りの甘い番手で作成。絹の持つ生成りの色味と艶がアクセントに

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グリカン

12:仕上げ  アイロンで仕上げ

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出来上がり

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後身頃。生地のドレープ感も良い

 

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