ウールリバー仕立て×CPOジャケット

scylt/ 12月 22, 2021/ 縫製の徒然/ 0 comments

久しぶりのブログ。

インスタがブログ代わりになっているような現状、こちらのブログから

遠ざかりがちですが、年末もう1本徒然る

今回は、先月作成したウールリバーのCPOジャケット

CPOジャケットは、「Chief Petty Officer(アメリカ海軍下士官)の略称で、作業用ユニフォームをルーツとしたアウター・シャツ」

近年なぜか女子のトレンドとなり、オーバーサイズのCPOジャケットを着た

女子大生が巷にあふれ、すっかり市民権を得た感じですが

もちろんメンズ界では、秋冬のカジュアルウェアとして、Pコート程ではないにせよ

ミリタリーウェア出身アイテムとして一定の知名度、使用度があったように思います

ブランドとしては「Fidelity」、 度詰めのウールメルトン が実際米軍のサプライヤーとして活躍していたという意味では正式でしょうか

裏地はキルティングや、ボアなどありますが、裏無しが元々だと思います

他にもCPOジャケットデザインとして、

ワークウェアの部類に入りますが、 Pendelton 、Woolrich が有名でしょうか

バッファローチェックはこの冬時期の定番ですね、キムタクの影響かな・・

という秋冬時期、古着やさんに行けば必ず出てくる

そんな CPOジャケットですが

小生からすると、秋冬のアウターアイテムの中で、唯一と言ってよい 

「シャツデザイン」な訳で、作らずにはいられないと。

昨年は、このアウトポケットのあるデザインで

Lintonツィード(×裏地付き) で作っておりましたが

さらなる進化をすべく、今回は ウールリバー仕立て×CPOジャケットを作成しようと,

こう思い立ったわけです

では、早速作成風景へと

とその前に、ウールリバーとはなんぞや、という事ですが

ウールリバー素材とは、2枚のウール生地を接結糸で繋ぎ合わせた”様”(実際には織りながら1枚にしているので、2枚の生地を貼り合わせたわけでは無い)なダブルフェイスの織り生地で

ウールリバー”仕立て”とは、

このウールリバー生地の2枚に剝がれる特性を生かして、

生地の端を割ってから内側に巻き込んで手縫い始末することで、接ぎ部や端処理し、

裏地や芯地を使うことなく、アイテムを作る特殊な縫い方の事を言います

(もちろん工場も、専門工場になります)

このウールリバー仕立てで出来たアイテムは、(コートが一般的ですが)

ウール本来の風合い、軽さを実感でき、また両表面ウールの柄や配色を楽しめるのが特徴で、

ここ数年来レディスマーケットではかなり人気を誇り、市民権や知名度を得てきている状況です

これはメンズにも味わってもらわねばと!

という事で、作成風景もさらっと。

まずは今回のウールリバーの生地;ウール100% 配色タイプのものをピック。

(縫い上げてから、中間アイテムとしてはちょっと厚かったかな・・と反省)

という事で、まずは裁断から

通常のシャツと違うのは、

1:袖が2枚仕立て&スリット仕様(パターンは縫いながらイジリ、アウトカーブを強く袖口をすぼめましたが)

2:ヨークは1枚&クロスヨーク(ミリタリーデザイン)

3:衿、台衿、カフス 共に1枚

全てのパーツが1枚なので、新鮮でした。

そして素材がウールメルトンという事で、綿や麻と違い、地の目をほとんど気にせずに

裁断できるのは、かなり楽でしたね。パーツ数も少ないし。

(通常のシャツは、全てのパーツを地の目を取りながら裁断するので、かなり骨が折れる作業)

この裁断は、今回の作成工程の中で、唯一時間のかからない作業で、気分よく進める事が出来ました。

「これはもしかして、思いのほか早くできるかもと・・」

一瞬期待がよぎりましたね

が・・・ それもここまで

では、縫いに。

ウールリバー仕立てに関しては、先ほど軽く触れましたが

より詳しく工程を分解&解説すると(以下写真は前立て&前身頃)

①パーツ生地端を割る作業 (工場の場合、専用のグラインダーがありますが、小生はリッパ―による手作業(かなり大変:汗) 

②割った後の片面(まつる側ベージュ面)に芯のテープを貼る(折りを綺麗に仕上げる為)

③片割れの縫い代(グレー面)をミシンで縫う(挟まれる側の前身頃パーツは端を割かない)

④裏面の生地、縫い代を内側に織りながら手まつりでとめる

この4つの工程を、全パーツの接ぎで行う事になります

また、アイテムの端部、前端や裾端は、接ぎは無いですが

①端を割いて、②芯テープを貼って、④両縫い代を折ってまつる

下写真は裾のカーブ部

そう・・・「地獄」の始まりです

襟パーツだとこんな感じ。

①表衿1枚の端を割って、芯を貼り&まつり縫い

②台衿の端を割って、芯を貼り、上衿の縫い代とミシンで接ぎ合わせ

③ベージュ面まつり縫い

ミシン縫い部に関しては、パーツによって縫い代を割ったりして、

縫い代の重なりを減らす工夫も。

基本、ミシンで縫った側(グレー面)の方がやはり綺麗にすっきり仕上がり、

逆に、手まつりで処理する側(ベージュ面)は、縫い代が重なり凸が顕著になります

今回、小生のCPOジャケットはリバーシブル仕様にしてますが

上述したように、グレーとベージュの見え方の違いは出てくるので、

表と裏的な感覚は少なからずあるかなという印象です

肩の接ぎとクロスヨーク

クロスヨークは、ヴィンテージのミリタリージャケットで使われていた仕様で

良いアクセントになるかなと採用。

縫い代の重なりの凸が、リバー仕立て感を演出して、良い感じじゃないでしょうか。

ちなみに、大変なのは、縫いとまつりの重なる「端部」。

身頃と袖が縫い合わさる肩先は、袖が「挟まれる側」、身頃が「挟む側」なので

肩先の縫い代を1.5㎝位残して、開けておかなければいけません。

その為、写真で分かるように、身頃側の縫い代も、ヨーク側の縫い代も両方とも割いて

グレー面はミシンで端から端まで縫い合わせます

(他のパーツは、挟まれる側の生地端は割かなくてよかった)

さらに作業が増えると。

こちらは、2枚袖、接ぎ端、袖口のスリット部

挟まれる側の内袖スリット部を先にまつりで縫い留め、その後

2枚接ぎ部の縫い代を内側に折り込んでまつり付けると。

こちらは、エルボーパッチ。

最終はレザーに縫い直ししたのですが、その前は表地で一度縫っていた段階です

楕円のパーツは、①端を割いて ②グレー面に芯貼り ③土台面ベージュを先に縫い付け(捨てミシンでいせて丸くする)④グレー面をぐるり1周まつる  と

と、まぁ こんな作業を全てのパーツで説明していると切りが無いので。

というか、途中から余りの作業の多さに、写真撮るのが面倒になってしまい

一気に完成品と

ボタンは、グレー面には 本水牛。ベージュ面には本ナット使用。

エルボーパッチと釦の色は合わせた方が良いかな・・と思ったり。

という作成の徒然でした

いやとにかく時間がかかりました

これだけやっている訳にもいかないので、色んな作業の合間、日曜自宅でなどを重ねて

何とか作り上げた次第です。

初めてのウールリバー製作で、勝手の分からない所もありましたので、それも一因にありますが。

という事で、分かった事。

ウールリバー仕立ては、一般的にコートアイテムが多いと触れましたが、それには理由があり

一つには、手作業が殆どの為、工賃が高くなるので、値段の通るコートなどの重衣料になる傾向が強い

またもう一つは、ケープなどコートはパーツ数も少ないため、単純に作業工程が減り、

メーカーにとっては、コストが抑えられ、工場にとっては作業が少なくても済む事が挙げられます

つまり、シャツの様なパーツ数の多いアイテムは、「売り」という面を考えると

向いてない という事です。

つまり、「あまり市場にない」と

小生がやる意味もあるのかな・・・

インスタでは、着用ルックも掲載。

オーダーも受け付けられますので、ご興味ある方はご相談ください

表地選んだり

エルボーパッチのレザーや、ボタンなど選んだり

なお、製品の縫いは、専門工場に頼みますので、

専門の職人さんの手で、小生よりもっと綺麗に上がります

着用写真はインスタにアップしておりますので

そちらもチェックしてみて下さい

今年も一年、終わりです

いつも同じこと思いますが、時の経つのは早いなぁ・・・

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