新作便り
新年明けましておめでとうございます
今年も、チャレンジ & シャツ縫製の進歩を積み重ねていきたいと思います。
よろしくお願いいたします
早速ですが
12月中に書き上げるつもりの Borrelli 解体 袖編でしたが
なんだかんだ後回しになってしまいました・・・
原因は、次の展示会(総合展示会の出展)
1月21日~23日 New Yorkにて 「Liberty Fashion Fair」 用
の「新シャツ作り」
ということで、今回のブログは
小生(一人のデザイナー)の新作制作風景をちょろと紹介したいと思います
新年なのでさらっと、写真で「流れ」を追う感じに。
今回の始まりは、
①「モデル」です
どういうシャツを作りたいか?という事はつまり
どういう人に、どういう風に着せたいか。
という事で、実際の撮影モデルを探すところから始まります。
scyltは、元々「sexy」なシャツスタイリングを目指しています
ただ、ファッションモデルで東京に来るタイプは、ナードな雰囲気のタイプが多く
モードには強いが、セクシーやスポーツ系には弱いタイプが殆ど。
ここ2シーズン、そのせいもあってか作品自体もモード寄りになっておりました
下の写真は、scylt歴代モデルです
しっかり筋肉系だったのは、1stモデル。
他の2人の時もなるべく、身体の良いタイプを選んでいたのですが、
言っても、細マッチョ位でした。
世界の都市を移動する「季節労働者」のモデルさん達の限られた「東京」時期の中で、顔と、身体と、雰囲気と、 scyltに合うイメージのモデルを探すのは、毎度一苦労です
まぁでも、振り返ってみると、2nd は今っぽいリラックス感のある写真とモード感のある写真も撮れていたので、結果良かったかな。。。
という所でサイトのtoppageは 2ndモデルを採用しています
(周りからどう見られるか、ターゲットの嗜好性はどこにあるかは、やはり意識しなければいけませんね)
今回のモデルの写真は未だ載せられませんが
撮影モデルが決まると、シャツのスタイリングや、シーンのイメージがはっきりとしてくるので、デザインの方向性が決ってきます
その意味で、モデルさんによって、作る新デザインも変わってくると言えます。
ということで
② デザインの決定、デザイン画作成
モデルの着用イメージに合わせて・・・「リゾート系のシャツ」に決定
素材は薄くて、透け感があるローンで洗いざらしを、ビーチで、1枚さらっとセクシーに着ると。
という事で、デザイン画
ポイントは、リゾートシャツとして、「胸の深い開き」。
デザイン画だけ見ると、上の絵はほぼジャケットなのですが、
「深い開き設定」にするために、ジャケットの前開きデザインにしようという感じです。
下のデザインは、scyltらしい、「タキシードデザイン」をリゾートシャツに掛け合わせたカプリタイプを作ろうというイメージですね。
やはり、「らしさ」、というのを意識します。
そしてこれは、主観よりも、客観からの「らしさ」で良いとさえ思っています。
③仮サンプル作成
本デザインサンプルの前に、シルエット&デザインディテールを詰めていくために、自分で着れるサンプルを作ります
モデルサンプルは、自分とはサイズ感や丈感が全く違うので、あくまでデザインがフィックスしてから。
自分で着たイメージと同じイメージをモデルに着せる為です。
上のデザイン画がこんな感じに仕上がりました
今回は、素材に特徴があるので、最初から雰囲気が出るように、本番生地で1stsample作成しました。
既に、衿のデザインが変わっています。
一度はデザイン画の感じで作っているのですが、
着用確認していく過程で、「ジャケットに寄せ過ぎて、シャツ感が無くなってしまった・・」ということで、変更です。
素材の薄さ、シャツ袖、ディテールなどで「シャツ」に持っていけるとイメージしてたのですが、ちょっと甘かったな。と言う感じでした
ただ、こういう経験を通して、「シャツ」の概念というか、「シャツたるデザイン」のイメージや範囲を知っていく事が出来ます。
デザインを捨てるのは簡単です。
イケてないのは、見れば分かります。
ただ、そこからデザイン変更して、「正解」を見つける事は、簡単な作業ではありません。
(デザインの取捨選択・多様性に「正解」はないのですが、一度選択されたデザインに対しては、「造形」があるので、イメージと理想を完成させるバランス=美しさと言う意味で、「正解」があると思っており、それを追求し、具現化するのがデザイナーの仕事だと思っています)
パターンが悪いんだと、デザイン画をとにかく追っかけることもありますし、
そもそもデザインがイケてなかったんだと、元デザインから離れていく事もあります
直ぐに別のアイデアを思いつく事もあれば、
サンプルをいじくりまわして、デザインディテールを幾つも試すこともしばしば。
デザインの取捨選択は無限なので、ドロ沼にはまると抜け出せません
その為、何らかの、「尺度」を「判断基準」を持っている事も大切です
小生にとって、scyltにとっての判断基準は、
「sexyかどうか」
そこに照らし合わせて、善し悪しを決めていきます。
今回は・・・
元々のデザインイメージの「コア」を突き詰めていく中で、
このシャツのポイント=sexy は、「深い開き」そして、「分量感あるウェストブラウジング」=「ラグジュアリー」としてのsexy にベクトルが振れていきましたと「見えて」きました。
このsexy も、いつも同じイメージ・内容ではなく、その「デザイン自体が生きるsexy さ」であることが重要です
ということで
④デザイン修正
上のデザインでも、ある程度完成はしていました。
ただ、その方向は「サファリシャツ」での完成度で、自分の中では不本意。
ビーチに着るものとして、「ラグジュアリー」と「面白み」に欠けました
ニューヨークの展示会に出すには・・・弱すぎる。
で、こんなんになりました
オーバーサイズシルエット × ウェスト絞りデザイン
一昔前の色男&イケイケ女子の感じかな。
最近のトレンドは、シャツ裾タックインで、ウェストブラウジングという80年代感。
そうしたイメージを追っている感じですね
しかし、だいぶ変わったな・・・もう少しいじる必要ありかな・・そして、これが正解なのかどうか・・・
実際の話、これもモデルに着せるまで分からないんです(泣)
⑤カプリシャツ × タキシード
1stsample作成、素材の雰囲気はつかめたので、シーチングの素材で作成
こんな感じ
デザイン画の感じの通りにつくっているのですが、
なんか、セクシーじゃないな・・ スモックみたい・・泣
でも、方向性はなんとなく合っているかなと、これは、デザイン画の雰囲気を突き詰めていこうと。
シルエット、分量感、ディテールを整え、スタイリングのイメージが固まれば、なんとかイケそうだと。
⑥ 2nd サンプル作成
これも、ウェストマークすると、表情が変わる感じに持っていこうと、そして
襟ぐりもかなり深く大きく開けて、スモックからの脱出を図ってますね・・
また、背中で分量をかなり出して、中世のブラウスのようなボリューミーなエレガンスを目指してます
これも、最終仕上げの一歩前ですが
完成系としては、V開き部に小さなメタルパーツ(刻印入りとか)を縫い付けて、HERMESなラグジュアリー感を出したいな・・・なんてイメージしたり。(このパーツ探しが超難航してますが)
なんて感じで
最後、「完成度」という名の「クオリティ」をあげるべく、ディテールに手を抜かず、作り込んでいきます
と言う感じで
シャツの新作を作っております
このシャツを着た撮影が上がったら、2019SSコレクション(1年に1回の発表という・・)で
サイトに上げていこうと思います。