リバーシブル・ネル作成

scylt/ 2月 5, 2025/ デザインの徒然/ 0 comments

ネルは、フランネルの略。フランネルは、ウェールズ地方で作られたウールを意味する「gwlanen(グラネン)」がなまったものと言われています。

時代を経て、より安価に大量に作りうる代替えコットンに起毛タイプ ”コットンフランネル”が登場、ワークウェアとしてアメリカで定着していきました。

逆に、ウールフランネルはフラノの呼び方に主流になり

ネルと言えばコットン起毛タイプで、発色がキレイ&柄もバラエティに富んでいる今のイメージが付いたように思います。

一方、PendeletonやWoolrichなどは、ウールで作っており差別化されてますね

そんなネル生地ですが・・

この温かみのある色味とチェック柄を生地屋さんに見せて貰っていると、やはり作りたくなってきます・・・

色と柄の選択肢が多すぎて見るのも大変ですが、とはいえ、ピンとくるものって限られてくるもの。

今の気分で選んだのがこの柄。

ワードローブにネルシャツがあまりないので、オーソドックスでトラディショナルな”赤”

そして、裏人気の”白黒”。

”赤”は、ウーリーなTOPグレーとの組み合わせ、チェックのサイズ感も上品で良いし、

”白黒”は、ブッファローチェックが多い中で、オンブレーは新鮮な気分。

この2つは決まり。として、ただ…ベージュも捨てがたい・・・

ならば、クレイジーパターンデザインにしてしまおう、インスタ映えもするだろうと・・。

この3色は、”白とグレー”が共通色にあるので馴染みが良いので、切り替えても相性が良さそうです

ということで

早速、生地が届いたら、組み合わせのシミュレーション

ある程度、生地を当てながら頭の中で組み立てるものの・・

前後分けるか、左右分けるか、ヨークを切り替えるか・・かなり迷いが生まれる。

そこで、実際にパーツ粗裁ちをして、ボディにピン打ちして最終決めていく

当初、”赤”×”白黒”で考えていましたが・・コントラストが思いのほか強過ぎた
なんか、”赤”×”ベージュ”のほうが馴染が良い・・優しくなる
まぁ馴染みは‥悪くないかな…

ウェスタンデザインの方は、パーツが増えるので、更に迷うww

ポケットや肩ヨークは地の目の向きがデザインポイント。どこの柄で裁断するかでも

雰囲気は変わる・・また、左右別の柄にするのであれば、横段をどこで合わせるかも重要。

全ての判断がデザインのバランスを作る。悩ましい・・

ぶっちゃけ・・自分がこのネルシャツアウターをオーダーする立場に立ったら・・2色で表裏を替えるだけで十分のようにも思う

だとしても、3色それぞれの出来上がりの雰囲気がこのクレイジーパターンなら確認できるので、役に立つだろう、と。自ら悩みを増やす、自業自涜なのである・・ww

さておき、こうしてデザインを決めて、ようやく裁断&縫う準備を完成

裁断作業は、ほぼシャツ2枚分、シミュレーション、柄合わせマーキングの手間も含めて通常のシャツの倍以上かかったろうか。

また、縫製に関しても通常のシャツと縫い方が異なる。

一番の大きな違いは、「脇・袖・アームホール」の折り伏せ縫い → ロック始末 

目的は2枚重ねの厚みを減らすため。

一般的に、シャツ縫製においてのロック始末は簡易縫製と思われてますが、

小生のような1人仕事の1着縫いとなると・・

通常使ってないロックミシンを棚から出してきて、糸を取り換えて、糸調子を整えて試し縫いを繰り返し&本縫い、全て縫い終わったら、また箱に入れて棚に片付けて・・と、省エネでも効率的でもない・・涙

ロック始末はあくまで、着心地を上げるための選択なのです

さて、縫い進めていきます。まずは、身頃から

ベージュ背中のタックは、サイドタック
白黒バックのタックは、ロッカーループ付けて中央

背中のタックは、突き合わせた時に膨れないように、中央とサイドで重なりを分散する。

そして、2つの袖。カフスは一つで、2つの袖を突き合わせて袖口で一緒に流し込む。

袖口の開きは、剣ボロではなく、ミリタリージャケットにあるような、三角マチ。

袖を2枚接ぎにしたのも、アウターシャツとして袖分量をスリムに出来る事、この接ぎ利用の三角マチによって始末を軽くするため。

あくまで、着心地とパターンが優先で、柄切り替えデザインが目的ではありません。

さぁ、顔となる”衿”。

衿もカフスと同じく一つ。2柄のボディを突き合わせて台衿の中に流し込む。

羽根衿の表裏と台衿の内外は、赤とベージュがテレコになることで、ひっくり返すと1色の見え方に

赤をメインに着ることになるイメージで、羽根衿裏のベージュは数ミリ控えるため、ベージュ表になるときはうっすら周囲に”赤”がはみ出ます。 これは仕方ないので、これで良しと割り切る。

最後に、合体と。

プレッピーなワッペンで、アメリカンテイストに。どっちが良いか・・・

ひっくり返して。左右どちらもボタンホールが開いているので、鼓ボタン仕様。

本水牛とナットの2種類を糸で繋ぎ合わせてます。

という事で、ネル・リバーシブルアウターシャツでした。

このシャツ、コットンフランネルの二重で、重すぎず、暖かい。

真冬に一枚では厳しいですが、室内ではこれ一枚で十分。外出る時は、この上にコートが着れるので

優秀なミドルアウターという感じですね。

どこにも売ってないけど・・・オススメですww

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